電力会社は,電気の原材料と原産地,それと流通履歴の表示を徹底せよ


 あなたのお宅にも,毎月,検針員がやってきて電気料を請求する。この電気料請求書には,電力会社のPR広告は載っていたり,先月の使用量との比較が掲載されていたりするものの肝心の使った電気そのものの情報が掲載されていない。
 あなたが買った食品の裏側を見てみよう。例えば,牛乳。販売会社はもちろん,製造会社,成分表示が掲載されている。このことは,食の安全の意味で当然のこととなっているし,他の食品においても,時に「やたらと詳しいなあ」と思うことはあっても,なくていいと思うものはいない。生産者においても,消費者においても同様だ。
 では,ぼくらは,コンセントにプラグを差し込むだけで使える電気について,伝えられるべき情報を消費者として入手できているだろうか。ぼくらは何も知らない。使っている電気のうち,その何%が火力,水力,原子力,その他でつくられているのかを。そして,それらはどの発電所でつくられ,どの変電所を経由して送られてくるのかを。そもそも,使った電気は,石油,石炭,どのダム,どこのウランが使われたのかを。
 「食」と同様に,いや「食」そのものの命運を左右さえする電力について,「食」と同様に表示義務があるんじゃないのだろうか。また,ぼくらはこのことについて,日常的に知っておくべきじゃないのだろうか。
 こうした取り組みを電力会社に負担させることについて,コストアップを招くことを懸念される方もいることだろう。だが,そうだろうか。エリア別に事前告知をした(そのタイミングが十分かは別として)上で,計画停電を行う技術があるのだ,ことさらにハイレベルの要求ではないだろうし,発電データベースと給電データベースの情報を,請求書発行レコードに出力させるといいだけのことだろう。さほど困難とは言えまい。
 電力について,これほど日々,関心が集中していることは,かつてない。この機会に電力について,各世帯ごとに,もっと知るための手だてを工夫してみよう。このことはやってみれば,後々,当たり前のこととして根付くはずだ。