震災後の今日,僕は,革靴を買った。


 今日,革靴を買った。
 オン・ビジネスなので,明後日の月曜から履いていく。バルモラルのストレートチップと,初めてのモンクストラップ。決して,安い買物じゃない。ただ,カジュアル・シューズで通すことの気後れで,大事な場面で「剣先が鈍る」感じに耐えられなくなった。


 震災後,こうツィートした。


2011年04月02日(土)

メレルのパスウェイモックをゲト!今年は革靴を履かない宣言。 RT @onasuhina: @kazgeo わりと秀岳荘 http://twitpic.com/4fzloy


http://twitter.com/kazgeo/status/54087509608640512


2011年04月14日(木)

カタチからだけど、私は革靴を履く生活を止めましたよ。革靴が象徴するオヤジ文化を否定しないと前に進めない、と思うんだ。 RT @gorodoku: なんだか変わってない自分を鏡で見てガッカリします…orz


http://twitter.com/kazgeo/status/58357615977172992


 2年で終了した。
 それまで,ブレザー+チノパンのカジュアル・ウェアであっても革靴を履いていた。オシャレというより,最低限,ビジネス言語は話しますよ,の証を示す象徴だった。ただ,震災後,革靴を履く連中が棒立ちになって機能しない様を見てしまい,その古くさい思考状況から離れたくて,カジュアル・シューズ宣言をし,今日まで通した。
 「結局,旧い世間に取り込まれたのさ,オマエは」と言われてしまえば,反論はしない。そう映るであろうことは否定できない。だが,私は,戦場に戻る。そのための武装手段だ,と思っている。
 また革靴を磨く日々もやって来る。そりゃ,面倒さ。手も汚れる。リキッド系よりも固形の靴クリームで仕上げると,その出来映えの嬉しさが違うからね。


 昨晩のNHKスペシャルが,私には響いた。

一向に進まない被災地の復興。今その最大の課題が「住民合意」である。被災地各地で今、行政への住民の不信拡大、さらに住民同士が対立する事態が起きている。
震災直後、ガレキ撤去などを1ヶ月で終えるなど復興のトップランナーだった宮城県名取市。しかし町づくりの議論が始まると、復興は進まなくなった。住民の合意形成が進まず、計画を根底から見直すべきだとの声まで上がっている。さらに「現地再建」や「集団移転」など様々な主張の住民団体が結成され、分裂。市はそうした状況下で現行案にこだわり、復興に向けた話しあいは膠着してしまう可能性をはらんでいる。
(略)
合意はいかにして可能になるのか。何が鍵となるのか。復興への道に立ちふさがるこの難題を、長期取材を続けてきた名取市のドキュメントを通して、考える。


NHKスペシャル|シリーズ東日本大震災住民合意800日 葛藤の記録


革靴を履く側であるならば,革靴を履いたまま,私という人間で勝負をしよう。震災後の社会は「何も変わらなかった」のではなく,考えを改めざるを得ない僕らが,オン・ビジネスのフィールドに立つ,ということだ。


 震災後の今日,僕は,新しい革靴を買い,月曜にそれを履く。