読書感想文「ユーザーファースト  穐田誉輝とくふうカンパニー  食べログ、クックパッドを育てた男」野地秩嘉 (著)

 ビジネスをどう作るか。
 つまるところ、どんな価値を提供するかに尽きるのだが、穐田は自分の目で見て、自分の頭で考え、実行してみせる。当たり前のようだが、案外できていないものだ。なぜか。人の風説や評判、友人・知人の話しを信用してコロっと落ちる。面倒くさくなって自分で確かめるず、曖昧にしてしまう。そして、創意工夫や作り出すモノやサービスがどんな問題解決となるか、どれほど便利になるか、どれほど安くなるか・どれほど利潤を作り出すかをとことん考えない。さらに、リスクをとって挑戦もしない。そんな人たちに比べると、穐田とはゆるがせにしない人だ。疑ってかかるし、おかしーなー、どーなってんだよーと考える人だ。
 得難い失敗をいくつも経験しながらも、運良くそこから立ち上がってこれたのは、普通の家庭の子と言いつつ、愛情を注がれた記憶が、逆境にあっても折れてしまうことの無い心棒を育んだからでは無いだろうか。「インターネットの本質とは?」の答えが「検索」であり、それを体現してみせたのがグーグルだったように、インターネット・サービスとは?を生活の不便を無くすことだと穐田は提示している。
 しかも、「運と気合い」を使いながら。