聖職 旧・Column Kazuhiro 2000

 例外的に,それについたとたんに,全人生・全人格をかけて取り組まねばならない職業がある。他の仕事においては,その仕事のオフには,地域での義務,家族への義務が発生するのであるが,この職業においては別であると思っている。教職である。何故か。通俗に「こどもの成長を……」,「人の人生そのものを……」などではない。それは教えることを職業にしているからである。教えるということは,人間の本能的なものであり,本来,人間とは教えたいものだからである。それぞれの仕事において,先達は後進の者が持つ疑問に耳を傾け,自分の経験と知識を伝えている。こうして技術や技能は継承されていく。それは聞かれれば,教えたいという人間の本質の琴線に触れる行為だからである。この人間の本質の部分を職業にした以上,それは他の職業とはあきらかに一線を超えた領域なのだ,と私は思う。この点で言えば,いわゆるインストラクターや資格試験の講師は,これまで述べた教職には当たらず,むしろサービスの提供もしくは技術の継承の一部としてとらえてもらいたい。 
 牧師と同じ位置を与えられているのだ。
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