イチロー 旧・Column Kazuhiro 2000

 昨晩,NHKスペシャル「ICHIRO」('01年10月14日21時〜総合テレビ)を見た。大リーグ1年目にして大成功を手に入れた彼の軌跡にインタビューを交えた番組だった。彼のキャラクターなども伝わり注視していたが,見終わってビジネス書における「成功則」を感じた。明確な目標と現状分析,セルフコントロールとたゆまぬ努力。カーネギーナポレオン・ヒルのようではないか。おごることなく場面ごとに最善を尽くすこと,それは設定した目的への合理精神の発揮であり,自らの内から湧く「こうなりたい」に忠実な姿である。イチロー評の一つに「修行僧のようだ」というものがあるが,それは彼の真摯な姿勢の表現に過ぎない。イチローは実にお洒落だ。彼の手にした報酬の多さがあってこそ,と言いたい人もいるだろうがそれは適切ではない。彼の装いも彼の描いたイメージに忠実であることの現れなのだ。
 イチローは我々にとって対岸にあって,茫然と眺める存在なのだろうか。否,彼と我々には断絶はない。川の例えを続ければ,イチローは川から上がり僕らはまだ川に浸かっているだけだ。そう,僕らがだらしない。
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