制空圏 旧・Column Kazuhiro 2000

 庭に目をやると,「今日も木々が枝を伸ばし,葉を広げたナ」と感じる。彼らの理屈で上下左右の方向で芽を伸ばしている。人間の考える日射の方向を考えられない向きに伸びていたりするのだ。ある枝の葉に,別の枝の葉が重なり日照を我がものにしている。あたかも,空域の支配を握るかのようだ。こんな「争い」が,春からずっと続いている。ただ,面白いことに同じ種類の木の間では,空間の取り合いは見られず,重ならないよう協調が見られる。
 覇権を握ること,他との競争,同種間の協調の話に,アングロサクソン的だ,と眉をひそめる方もいらっしゃることだろう。狩猟民族的な,動きだとも言うだろう。グリーンな話題とそぐわないのは確かだが,彼らの競走も現実なのだ。いうなれば,今,私の庭は実力・成果主義の大競争社会だ。もっとも,私が規制緩和をしたわけでも,構造改革をしたわけでもない。
 こうした,のびのびとした自由な競争を目にしていることが,私自身を衝き動かすのだろうか。
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