ネクタイはへその先


 先日,同行の二十歳の男子のスーツ姿で2つ気になっていた。ひとつ目はシャツの襟周りがブカブカだったこと。「開襟シャツ」やクールビズでは無いので,お父さんのシャツを着た子どものようで,「自分のもの」感がゼロだ。たまりかねて,声をかけた。「今度,シャツを買うときは,襟周りのサイズに合わせて選ぶといい」。なんと,素直にうなずくではないか。そうか,彼の世代内でのファッションではなかったのだ。安堵。
 気を良くして,いや,少し天狗になって,あまりにも短く結んだネクタイについても,指摘した。どう見ても,ネクタイの先端がベルトから7〜8cm上にあるのだ。こっちのほうが,ずっとファッション臭がする。「おしゃれでやってるんですけど…」と言われそうで,言い出しかねていたが,シャツの件で少し自信がついたので,「ネクタイというのは,へその先,ベルトにかかるくらいでちょうどいいのだ」。今回も素直にうなずく。「えっ,そうなんですか?」という。


長さは,締めたとき,先端がへその上にくるのが標準だ。つまり,ズボンの上縁にスレスレにふれるくらいに締めるわけだ。
 なお,ネクタイの先端のところには,ベルトのバックルも来るし,二つボタンの背広の下のボタン(三つボタンのときの真ん中のボタン)もくる。ヘソは服を着るときに中心になるわけだ。


板坂元 「競争社会に生きる 能率人間の知的時間のつぶし方」 p.81〜82


 背広の着方は,実はきちんと学ばないまま,大人になる。デパートの老舗ブランドで聞いてみるのもいいだろうし,専門店で確認するのもいいだろう。
 何もわからないまま社会に出た私は,メンズクラブブックスの数冊が教科書だったし,林勝太郎先生の本が指南役だった。


 そういや,いまの若い子は「Hot Dog Press」は読んでないんだっけ。