「国民皆保険」の前提を見なおそう


 リンク切れになるであろうから,全文引用する。

 保護者が国民健康保険の保険料を滞納して保険証を返還させられ、医療保険が使えなくなっている中学生以下の子どもが全国で1万8240世帯、3万2903人に上っていることが30日、厚生労働省の調査でわかった。

 保険証のない子どもの全国調査は初めて。

 市区町村は、災害や病気、失業などの特別な事情なく保険料を1年以上滞納した被保険者に対し、保険証を返還させたうえで、「被保険者資格証明書」を交付している。被保険者資格は失っていないので申請すれば1〜2か月程度で自己負担分を除いた額が返還されるが、いったんは窓口で医療費の全額を支払わなければならず、受診抑制につながるおそれがある。

 今年9月時点の厚労省の全国調査では、保険料を滞納している世帯は加入世帯全体の18・5%にあたる384万5597世帯で、このうち33万742世帯(加入者全体の1・6%)が資格証明書を交付されている。

 こうした世帯の子どもは0〜6歳までの乳幼児が5522人、小学生が1万6327人、中学生は1万1054人。都道府県別では神奈川県の4386人が最も多く、次いで千葉県3321人、栃木県2652人、福岡県2099人、大阪府2016人の順だった。

 調査結果を受け、厚労省は全国の自治体に対し、子どもが必要な医療を受けられないことがないよう、緊急的に1か月〜数か月の短期保険証を交付するなどの配慮を求める通知を出した。同省は「各自治体は、滞納世帯であっても資格証明書を一律に交付するのではなく、子どものいる世帯の場合は特に慎重に判断してほしい」としている。
(2008年10月30日20時49分 読売新聞)


医療保険ない子ども、全国3万2千人…健保滞納で : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)


 上の記事で,気になったのは,「0〜6歳までの乳幼児が5522人、小学生が1万6327人、中学生は1万1054人」の部分。つまり,0〜6歳までの乳幼児だと920人/歳,小学生だと2,721人/歳,中学生だと3,684人/歳と子どもの年齢が上がるにつれ,無保険が増えているのだ。単に生活の困窮だろうか。違う,社会や周囲からの孤立に,生活苦が加わったとき,それの蓄積が後になればなるほど,吹き出すのだ。
 かつて,「人は,人並みであるよう努力する」であるとか,「他人様に後ろ指さされないために,ちゃんとする」と,世間や周囲を意識しながら,自分たちの暮らしがあった。それが切れて「関係無い」状態になったとき,社会制度から離脱してしまう。
 金銭を伴わなくとも,他人とやり取りをすることだ。サービスとしての笑顔じゃない,スマイルに¥0なんて金銭表示を持ち込むな。自分との対話なき絶望的な孤立に陥りやすい社会を僕らは,築いてしまった。
 分断を乗り越えよう。「皆」と呼べるお互い様の国民生活をつくろう。そうじゃなきゃ,「国民皆保険」の土台がないじゃないか。