緊急雇用対策をしようとしている市町村は,教室のアシスタントの採用を検討されたし

例えば,子どもたちにサイン攻めにあったその一年生のクラスには全部で二十一人の子どもたちがいた。クラスの教師は一人だが,アシスタントがいつも教室の後ろで見守っている。フィンランドでは,体の障害や病気を抱える子,そして学習障害がある子のクラスにはアシスタントをつけるのが普通だ。言葉のわからない外国人の子がいる場合はなれるまでクラスに通訳をおくことも多い。このクラスには糖尿病の女の子がいたため,「まだ教師になる勉強をしていないが子ども好き」という高校を卒業をしたての若い女性がアシスタントとしてついていた。彼女の役割りは女の子にインシュリンの注射をしてあげたり,クラスの担任の教師を手助けしたりというものだ。実際に授業をするわけではないが,授業がよくわからなくて困っている生徒に必要に応じてアドバイスしたりもする。


p.46 「フィンランド 豊かさのメソッド」 堀内都喜子著


 いま,突然に仕事を失ってしまった方々向けに,全国各地の市町村で雇用対策を競うように実施し始めている。
 これから実施を検討している市町村に提案なのだが,市町村立の小中学校の教室のアシスタントに彼らを採用してはいかがだろうか。多くの市町村に習って3月末までの期間でもいいだろうし,もっと長期でもいいだろう。子どもたちと大きな声であいさつするのが得意な方もいるだろう。暗算が得意な方もいるだろう。じっと話しを聞いてあげることができる人,とりわけ,アシスタントとしてマンツーマンで関わる子が出てくるだろう。
 それでいいんじゃないか。そういう先生でも親でもない大人とのつきあいが子どもたちには求められているんじゃないか。不況のおかげで子どもたちに接する大人が増え,それで子どもたちの世界に豊かさが増すのならば,むしろ積極的に行ってはどうか。
 ピンチをチャンスに,とはこういうことではないか。


フィンランド豊かさのメソッド (集英社新書 (0453))

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