いやはや,当たり前のことながら,平均寿命とは0歳児の平均余命

 日本人は長らく「人生50年」を寿命と考えられてきました。実際,戦後間もない1947年の平均寿命は男性が50.06歳。女性が53.96歳。


朝日新聞 e6 2010年5月15日


 ここまでは,何の違和感も無く同意できる。

 でも平均寿命が短かった戦前だって,長生きの人は多くいました。
 実は47年でも,40歳男性の平均寿命は26.88年,女性は30.39年ありました。つまり40歳を超えれば,男は67歳,女は70歳くらいまで生きられたのです。昔の人が50歳くらいで一斉にバタバタ死んだわけではありません。


朝日新聞 e6 2010年5月15日


 アレッ?そうなの?と思うでしょ。平均寿命だから,「50歳くらいで一斉にバタバタ死ん」でた,と。じゃあ,何でそうなの?の答えは,

 生後1歳未満の乳児死亡率を見ると,47年には出生千人当り76.7人もありました。それが08年には医療や衛生,栄養状態の改善で2.6人にと激減。現代でも平均寿命が目立って低い国があるのは,子どもの死亡率の高さが背景にあります。


朝日新聞 e6 2010年5月15日


 もちろん,高齢者の死亡率低下も平均寿命の伸びに寄与しているわけだが,平均を出すわけだから,0歳,1歳,2歳の乳幼児の死亡率が減れば,「平均」に大きく影響する。
 いやはや,「平均」ということを考えてみれば,当たり前のことながら,数字のマジックにとらわれていたことを,あらためて反省してみる。