何度も書くが,決して悪口ではない。MacBook Airが壊れていた。おそらく,買った時から調子が悪かったのだ。そういう一台が,たまたま私の手元にやって来た,ただそれだけだ。
手元にパソコンがない数日,なにをしていたかと言えば,DVDや録りためた映画を見ていた。その中でも,縁あって,たまたま,借りていた今 敏監督作品のアニメを見た。よかった。グイっと引き込む力は秀逸で,グングンと見せる。見た映画は,『千年女優』(2001年),『東京ゴッドファーザーズ』(2003年),『パプリカ』(2006年)の3つ。見終えて,私のおすすめの「見る順番」もこの並びだ。
『千年女優』は,すでに引退した女優へのオマージュとしてのインタビューのプロセスを映画にしたもので,今監督の映画そのものへのオマージュと言ってもよいのだろう。その女優の出演作品が劇中劇の連続としてたたみかける。アニメならでは時空間で,「見せる!」。女優の一途な恋心,いや病的と言ってもいい偏心が彼女の一生のテーマで,それをある「もの」の存在とからめラストまで描いていく。
『東京ゴッドファーザーズ』は,「赤ちゃんもの」であり,考えさせながらもドタバタありのハートウォーミングストーリー。え?そうなの?と繰り返される「やられた!」感は,今監督ならでは,と再認識させられる。
『パプリカ』は,SF。でも,そのSFを成立させるイマジネーションの量と言ったら,そりゃ,もう!の世界。筒井康隆の原作をどこまでひねると,ここに到達するのか,原作そのものも気になる(10代後半に図書館の筒井康隆全集を読破したのだけど)。主人公にとってのオチはそれでいいのか?とも思うけど,大事件が解決したことにホッとすることに気持ちが向かう。
いずれも良作なのだ。絵もうまい。画面の情報量もやたらと多い。すでに,10年前の作品となっているものもあるが,全く古くささは感じさせない。
すばらしい作品はもっと知られて欲しい。ブログでの賞賛をどこまで増えれば,動くのか,道は遠いのだろうが,ぜひ,これらを地上波ゴールデンタイムで放映してもらいたい。それが一番の知名度向上だろう。
私自身は,今監督作品を知らずにいたし,これだけの良作も知らずにいた。せめて,存命中に視聴したかった。そのことを残念に思う。
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