減速時こそ光るべき,というイノベーション。


 夜,自転車をこいでいて,交差点で横から来たクルマに気づく。あぶないな,と思い,ブレーキをかける。すると,どうなるか。車輪の駆動にあわせて発電し点灯していたライトの光が弱くなる。これでイイのか。ぶつかりそうな,この時。もっとも危険回避が求められるこの瞬間こそ,光が強く自己の存在を知らせるべきではないのか。駆動発電型照明の根本的な欠陥では,ないか。
 もちろん,乾電池やバッテリーを内蔵したライトを取り付けておきゃそれでいいだろう,と誰しも思う。だが,これは,光量を維持するだけなのであって,危険時に光量が増すことにはならない。ブレーキをかけた,その時に明るくならなくてならないのだ。50点だ。
 では,どうしたらよいのだろう。鉄道や電気自動車,ハイブリッドカーでおなじみの回生ブレーキを自転車に導入できないか。すでに,電動アシスト自転車には,回生ブレーキを用いた車種も出ているらしい。しかし,駆動力としての発電機による回生ブレーキではなく,ブレーキをかけた時にだけ,照明をより光らせるためだけを目的とした回生ブレーキだ。ずっとコンパクトかつ,ローコストでできるだろう。
 回生ブレーキだけが唯一の解だとは思わない。ただ,ブレーキをかけて安全性が減少するようでは,ライトに求められる役割が十分に果たされていない,ということだ。くだらない話しではあるけども,技術者が取り組むべき課題には,こんなこともあるんじゃない?と私は,思うよ。