平成23年度 行政書士試験問題 問題3プライバシーに関する最高裁判例について


 今年,間違えた問題なので,以下,復習。


Q.「犯罪を犯した少年に関する犯人情報,履歴情報はプライバシーとして保護されるべき情報であるから,当該少年を特定することが可能な記事を掲載した場合には,特段の事情がない限り,不法行為が成立する」とは,最高裁判例に照らし,妥当か?


 私は,これに○をつけてしまって誤った。正しくは,


A.妥当ではない。ソースは,「平成12(受)1335 損害賠償請求事件 平成15年03月14日 最高裁判所第二小法廷 判決 破棄差戻し 名古屋高等裁判所」による。

2 犯行時少年であった者の犯行態様,経歴等を記載した記事を実名類似の仮名を用いて週刊誌に掲載したことにつき,その記事が少年法61条に違反するとした上,同条により保護される少年の権利ないし法的利益より明らかに社会的利益の擁護が優先する特段の事情がないとして,直ちに,名誉又はプライバシーの侵害による損害賠償責任を肯定した原審の判断には,被侵害利益ごとに違法性阻却事由の有無を個別具体的に審理判断しなかった違法がある。


判例検索システム


要約してあって,わかりづらいので判例全文を見ると,

 (3) ところで,本件記事が被上告人の名誉を毀損し,プライバシーを侵害する 内容を含むものとしても,本件記事の掲載によって上告人に不法行為が成立するか 否かは,被侵害利益ごとに違法性阻却事由の有無等を審理し,個別具体的に判断すべきものである。すなわち,名誉毀損については,その行為が公共の利害に関する 事実に係り,その目的が専ら公益を図るものである場合において,摘示された事実 がその重要な部分において真実であることの証明があるとき,又は真実であること の証明がなくても,行為者がそれを真実と信ずるについて相当の理由があるときは ,不法行為は成立しないのであるから(最高裁昭和37年(オ)第815号同41 年6月23日第一小法廷判決・民集20巻5号1118頁参照),本件においても ,これらの点を個別具体的に検討することが必要である。


判例検索システム 全文


つまり,ここにある「不法行為が成立するか否かは,被侵害利益ごとに違法性阻却事由の有無等を審理し,個別具体的に判断すべきものである」というのが,ミソだったわけ。
 はい,勉強し直します。