やっと,読んだ。まばらまばらな時間を継ぎつつ,全4巻を読み終えた。途中,感心したことをツィートしたりもしながら。
はてなQ 文庫or新書を3冊、来年高校に進学する親戚の子供(女)にプレゼントしたいと思います。
本人の話によると、心理学と日本史に興味を持っているようですが、どの本がいいでしょうか。その本を推す理由も記していただければうれしいです。
「国盗り物語〈1〉斎藤道三〈前編〉」
「国盗り物語〈2〉斎藤道三〈後編〉」理由、無性に面白いから。歴史の話は面白くないといけない。
はてなQ 文庫or新書を3冊、来年高校に進学する親戚の子供(女)にプレゼントしたいと思います。 - finalventの日記
と,finalvent先生が全4巻のうちの2巻のみを勧めているとおり,私もそうする。つい,勢いがついて3巻に突入するのだが,司馬遼太郎は,道三から書き始めたことも会って,その没後の分身である光秀と信長を書く。すると,このまどろっこしく面倒くさい男・光秀に紙面をとられる。当然,内容も面倒くさくなる。あー,やだ,こんな奴,となる。ジュクジュクすんなよ,と言いたくなる。
この小説においても,光秀謀反の理由はノイローゼ説をとる。人間,休みを取らなきゃイカン(それも休日という時間ではなく,心身ともに安息の意味で)し,休みを取らせなきゃイカンと思う。その一方で,人間,人生を振り返った時がヤバい,とも思う。半端になにかを成し,なんらかの地位について,ふと大望を描いた若い頃,それを目指し躍起になって車輪のように動き続けた日々,そうした実感のもとに,今の俺は何だ,と,もっと自他(他は一部からの評判を極大化させているだけだが)とも認めるこの実力が,現実の成果となっていないじゃないか!と忸怩たる思いに至るとき,そのときが危ない。
確かに信長に仕えるというのは大変な難事であったろう。ただ,そうした難しい上司に重用されることで距離を縮められ,がんじがらめになって変調をきたす前に,そうした「わからない」上司に,デキる自分だと(勝手に)自認したとしていても,デキるふりをやめ,わからなさを率直に(可愛げを見せ)伝えることだ。「わからない」上司を,「あんな考えを持つなんてバカだ。ついてけねー」などと思いつつ命令されることに納得がいかなければ,やりきれない思いが募るのは当然だろう。聞けるタイミングで,そのデキる自分の利口さを出さずに,上司ではなく,上司という人を知ろうとすることだ。
もし,その職場全体が道を外れていると思うならば,孔子の言うとおり,高い地位にいることを恥と思い,退くべきだ。歯向かって,やり合う必要は無い。生き残り続けている細川家を見れば,自ずと明らかだろう。
民政も戦術も優れ,知識と古典的教養もあった光秀。一国を治める君主としては,それでよかったろう。ただ,仮に信長の隣国に一国を治めた光秀がいたとしたら,たちまちのうちに討ち滅ぼされただろう。もともと認めようがなかったのだから,いたずらに敵対したのは明らかだ。滅びの美学で突き進むなら,それもよし。勝手にやれ。だが,時代は変わる。生き残るため,退くのも道であるし,権力の中枢にいながらも適当なポジション取りを絶えず心がけるのも道である。
私も,つい長くなった。ホントは,カラッと明るい1巻,2巻が好きだ。まさに「坂の上の雲」,読んで気持ちがよいし,若い人にお勧めだ。私の要らぬ経験が,光秀に言及してしまったようだ。
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