「終わった花は沈んでいく。私もそうありたい」と隣のオバちゃんは言った。


 暑かったね。今年の夏も。「まだ,暑いよ,バーカ」と思う方も多いかもしれないが,ピークは過ぎたろうし,いくぶんかは涼しくなったよね。
 この夏,雑草抜きに精を出した。スギナを抜いた。戦った,という方が実感がこもっている。地下で根を張る様子は,まさに,Evil ! あの邪悪さと言ったら,もう,とことん,戦ってやろうという気にさせる。まあ,そんな夏でしたよ。
 そんな風にして,庭で作業をしていると庭続きの隣のオバちゃんが声をかけてくる。トマトやキュウリをもらったり,花の話しをしたりした。そんなオバちゃんが,手入れが行き届かないともらす。花が終わり枯れ始めた花もちゃんと摘めばいいのに,と言う。
 オバちゃんが,多すぎて手が回らない花の世話をちょっとだけしようと花をいくつか摘もうとした時,「終わった花は沈んでいく。私もそうありたい。若い人の邪魔にならないように,こうやって下に行くのがイイんだ」と隣のオバちゃんは言った。



 たしかに,終わった花は沈んでいく。枯れて,やがて,いつの間にかいなくなる。自分の老いを正面から見,そして,自分の人生を花に例え,こうありたいと語る。なにげになかなか,簡単に言えるセリフじゃない。日頃から思っていた言葉が出てきたのだろう。
 私にとって,この夏の印象深いセリフとなった。