読書感想文「地雷グリコ」青崎 有吾 (著)

 痛快・天空人ゲームバトルである。
 ゲームの要素とは、遊戯性と射幸性、そして全てのプレイヤーを制するルールである。なので勝負を分けるのは、ルールのハックである。とは言えである。できるのか?易々と勝ち負けを分ける勘所を読み切り、対戦相手の手と判断を見定め、その緊張の場において向かい合うのだ。計算であり思考力である。神々のレベルかよ。少なくとも知恵のレベルは天空人だ。
 登場するもともとのゲームは、グリコ、神経衰弱、ジャンケン、だるまさんがころんだ、トランプだ。当然、そのままのルールじゃない。ルールを付加し、複雑にし、ちょっとやそっとのゲームじゃなくしている。その知恵よ。
 読者は揺蕩うとハイレベルのルールメイキングのストーリーに身を委ねて、ただただ熱いゲームバトルを眺めるといい。漫画のセリフなしのコマ割りで登場人物がバチバチする様が目に浮かぶはずだ。そして勝負の決着シーンは清々しい。
 高校生の対戦モノとして十分に楽しい。そうだ、一言だけ加えておこう各ゲームのルールを覚えようとしちゃいけない。覚えきれないよ。