経験は排気ガス

 過去というものは何かといえば,理論のない雑多な経験だけが混ざりあった,人生の排気ガスである。どんどん捨てなければならない。これをいつまでも抱えていれば,人生はすぐ老化して,生活のモーションがストップしてしまう。


p.52 得手に帆をあげて 本田宗一郎


 いやはや,バッサリとやってくれた。人生の排気ガスか。過去は捨てよ,さもなくばとらわれ,振り回されるぞ,と。経験のあるオトナについて,

 急速なテンポで発展する社会や思想を,とかく自分だけにしか通用しない過去の経験や,知識にこだわって考えがちだ。正しく判断ができない。そこでギャップが生じる。歴史の流れにテンポがあわない。その理由を悟ろうとしないばかりか,かえって手前勝手な合理づけをして,強情をはる,そして時代の発展にブレーキをかける。


p.51 得手に帆をあげて 本田宗一郎


つまらぬ経験がたまってやしないか,現実をあるがままに受入れ,正しく時代に反応できているか。謙虚にオッサンは反省しよう。