鉄スクラップの市況は,ガソリン高騰どころじゃない!


 ラジオをぼんやり聞いていると,何度かのローカルニュースでサイロの解体が進んでいるのだと言う。使われることの無くなったサイロの解体費用を差し引いても,酪農家には数十万円の臨時収入になるのだそうだ。サイロの多い町では半減しているとのことだ。
 サイロと言えば,郊外を走れば北海道では当たり前の存在,いや必須アイテムとも言えるポプラやドロノキ,シラカバなどと並んで風景をつくるものなのだが,サイレージづくりの方法が変わって以降,これは,

 現実には、解体するだけでも数百万円の経費が必要で、再利用が低コストで有利になるとは限らない。使用しない状態で放置すると長年の間に強度が低下し、安全上の問題が出てくるのは必定である。有効活用して資産を生かすか、安全性を定期的に点検しながら現状を保存するのか、どちらが得策か十分検討すべきである。
回答者:

帯広畜産大学 名誉教授 高畑英彦

登録年月日:
1999 年 03 月 31 日


Q:遊休タワーサイロの有効利用について -A情報の検索結果-


とのことで,「とりあえず,放っとけ」が対処方法だったはずである。それが急に解体が進むほどの事態なのか。鉄スクラップ市況(月次)を見てみると,




関東・中部・関西の3地区の平均値で,2005年7月に,トン当たり17,077円だったのが,この2008年5月にはトン当たり59,961円。3.5倍だ。2年10カ月で,である。世界中で資源価格の高騰がニュースで聞いたような気になっていたが,こんなことになっていたのか,とあらためて驚く。確かに原油価格が上がり「困ったもんだ」が多くの感情かと想像するのだが,それでもここまでの値上がりは無い。まして,一部の食料品や加工食品で数パーセントの値上がりが見られる程度で,他の最終消費材の高騰の実感は薄い。
 いったい,なにが起きているのだろう。消費者の知らぬうちに何かが大きく変動している薄気味悪さがある。新型 iPhone は,iPhone 3G となって値段も半分だそうだが,その向こうで鉄スクラップを奪い合うまでの激しさのマーケットがある。このコントラストに幻惑を覚える。
 サイロが消えるだけの変化で済みそうにないと思うのだが。