世界をよい方向に変えていくためにフツーであること

 昨晩,下着などを買い出しにユニクロに出かけた。必需品はこれで十分。むしろ,売り場でメーカーを気にしなくてイイ楽ちんさがあり満足している。
 レジを済ませ通り過ぎるときに雑誌「考える人」の抜き刷りが置いてあり手にした。私の場合,「日経ビジネス」などでのクール・ビズ特集の抜き刷りなどユニクロから持ち帰る冊子は多い。とくに今回は柳井社長も本で語っていた「考える人」だったので「オッ,これか」と思って手を伸ばした。店員に袋にご一緒しましょうか?と聞かれ,そのままお願いしたのでページを開いたのは戻ってからとなった。

 ユニクロの従業員にも,意識の変化が起こりつつあった。会社がCSR(Corporate Social Responsibility =企業の社会的責任)活動にさらに積極的に取り組みを始めるのと軌を一にして,社内にも「ボランティアクラブ」が設立された。知的障がい者のスポーツの祭典「スペシャルオリンピックス」(ユニクロは日本でのオフィシャルパートナーを務めている)に,ボランティア・スタッフとして参加したり,豊島での「瀬戸内オリーブ基金」の活動のサポートにも直接関わるようになったのだ。
 ボランティアクラブは当初は会費制で,任意の従業員が集まる組織だった。しかし,裾野を広げ全社の取り組みにするため,2007年からは会費制をやめて全従業員が会員となった。もちろんボランティア活動への参加を希望すれば,交通費の8割を会社が負担する。会員制だった頃には「特別に意識の高い」社員の集まりに過ぎなかったボランティア活動の,心理的なハードルがぐっと低くなり,参加者も増えた。


p.12 「考える人」季刊誌2009年特別編集号 Special Issue for UNIQLO


特集は「世界をよい方向に変えていくためにユニクロができること」。「全商品リサイクル」と「ボランティア」クラブの2つのCSR活動について広報的に取り上げたものだ。上に引用したのは,このうち「ボランティアクラブ」についてのもの。比較的,組織が大きくなれば,その知名度とともに社内にも社会的関心事を社内に持ち込んで運動を展開してしまう人間も現れる。そのことを会社のミッション・ステートメントに昇華できるか,がポイントになるわけだが,そこは経営者の意識がもちろん大事なのだが,社内でのサポートする仕組みの整備が大きい。
 ユニクロのボランティアクラブの場合,会費制をやめたこと,交通費を負担する制度をつくったことでフツーの人がフツーの人のまま,参加できるようにした。「意識が高い」ことをアピールしたい一部に人以外には,そのことは大きい。いや,むしろ,そうでなければ裾野なんて広がらない。
 私は,ずいぶんとこの記事に気づかされた。