簡易給食とは「非常時」を押しつけることだろうか,と思案してしまう。


 先ほど,ラジオを聞いていたら,何気ないローカルニュースに耳をとめた。

計画停電が実施されると学校給食の調理もできなくなりますが、室蘭市では計画停電に備えて、メニューを切り替えた簡易給食が25日、小学校の給食として提供されました。
室蘭市では学校給食センター計画停電のエリアに含まれ、グループ分けでは、給食を調理する25日の午前中が実施の対象になっていました。
市では、計画停電に備えて25日提供される4つの小学校の給食のメニューを、調理の必要がない簡易給食に切り替えていました。
このうち、地球岬小学校では当初予定されていたワンタンスープとビビンバに代わって、牛乳と菓子パン、ソーセージなどが配られました。
児童たちは、ふだんとは違う給食に戸惑いながらも、あっという間にパンやソーセージを平らげていました。
この小学校では、計画停電になれば、断水する可能性もあるため、全児童が水筒に水を入れて持ってくるなどの対策もとっています。地球岬小学校の冨樫生志校長は、「児童には、やや量が足りないと思いますが、地震などの災害時には、こういう食事になると思って食べてほしい」と話していました。室蘭市内では、2学期が始まる来月も簡易給食が予定されています。
07月25日 18時46分


計画停電に備え“簡易給食” - NHK北海道のニュース


 現時点での「計画停電」への即応策として,全児童へ水筒に水を入れて持ってこさせることや非加熱調理の準備など,賞賛したいと思う。
 だが,これはあくまで臨時的なものであるべきだし,基本的な考え方は違うのではないか。災害に向けて,被災後3日〜1週間の物資輸送復旧期間を,安定的に対処できるように食料,燃料,休息用品等の備蓄や訓練を絶やさない,ことではないか。つまり,ここでの給食だって,停電や断水があっても自家発電や簡易濾過装置,備蓄用飲料水を使って供給できるようにしておくのが,本来ではないのか。
 ましてや,子どもたちを戸惑わせ,「児童には、やや量が足りないと思いますが、地震などの災害時には、こういう食事になると思って食べてほしい」などと,満足に食べさせもしないで,「いざとなったら我慢しろよ」という我慢の強制は,教育者としての人権感覚を疑わざるを得ない。
 校長や市側は,災害時においても人権や人間としての尊厳を十分に尊重できるよう十分な準備を怠らないようにしていくと誓うのが,現時点での正しい態度であるし,学校や給食センターの都合ではなく,あくまで訓練として,子どもたちに給食を摂ってもらい(訓練後に,残りの分を補充してもいいだろう),十分な災害の備えができるまでの避難的な措置であることへの理解を求めていくべきではなかろうか。
 ちなみに,この対応は,

室蘭市は19日、庁内の節電対策推進会議を開いた。(略)計画停電が行われた場合、(略)学校給食センターは調理ができないため簡易給食の提供を検討している。


室蘭市役所本庁舎の節電効果、前年6月比13%減
【2012年7月20日(金)朝刊】
室蘭民報ニュース


として,市役所内の事前の会議で取り扱われていたようだ。