読書感想文「FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣」ハンス・ロスリング (著), オーラ・ロスリング (著)ほか

 「10の本能」が真実を見誤せる。我々の目を曇らせるのが10の本能だ。本著では「思い込み」という言葉が繰り返される。古く凝り固まったままのイメージで,世界を見ている。いや,違う。見ようともしていない。著者は言う,『知ってると思い込んでいるだけで,本当は印象に流されているだけですよ』,『あなたの意見は,根も葉もないただの感情論ですよ』。
 そんな忘れっぽい(本当は,たいして知る気もない)我々のための10の本能を書き出しておこう。1)分断本能,2)ネガティヴ本能,3)直線本能,4)恐怖本能,5)過大視本能,6)パターン化本能,7)宿命本能,8)単純化本能,9)犯人探し本能,10)焦り本能。
 気づいただろうか。我々は,分断され,どんどん悪くなり,目の前のことをことさら大きくとらえ,恐怖し,犯人を探し,焦っている。
 ファクトフルネス=事実に基づき,本能が引き起こす勘違いに気づくことで,世界を正しく認識し,未来を予測し危機に対応することだ。いま,世界はウィルスが蔓延した状況下にある。だが,それによって,ありもしない社会の亀裂を強調するのはやめるべきだ。
 一度読んだ人も未読の人も,落ちつくために手に取ろう。