読書感想文「三つの石で地球がわかる 岩石がひもとくこの星のなりたち」藤岡 換太郎 (著)

 アイソスタシーという地殻が氷山が海に浮かぶようにマントルの上に存在している図を説明したくて、この一冊はある。ここでいう海に相当するのがマントルであり、橄欖岩である。氷山の海面より下の部分は海洋地殻の玄武岩である。海面より上にあるのが大陸地殻であり、花崗岩だ。なんと、大陸と海とでは、そもそも地殻(=岩)が違うのだ。
 地球の内部構造を理解するために岩を説明していくのだが、高温のマントル(とその上部のプレート)と水(!)の存在が、橄欖岩から派生して生じた玄武岩花崗岩に関係する。プレートが沈み込むときに水が運ばれることで岩石の融点が下がり、玄武岩花崗岩が生まれる。熱=火でできた岩と、火と水で生まれた岩なのだ。地球の地殻構造をわかるための3つの岩であることを「へー」と理解するといいし、プレート境界での水の関わりを考えると地震と水の関連も気になるところだ。
 もちろん、岩や石には変成岩や堆積岩もある。むしろ、普段の生活で目にする石だと、造岩鉱物の橄欖岩や玄武岩花崗岩よりも、これらの方が多いかもしれない。であれば、なおのこと地殻構造を教えてくれる三つの石を見る機会を増やすことが、プレートの境界に位置する列島に暮らす者として地震災害に向き合うきっかけづくりになるだろう。そんな科学の側からのアプローチが待たれる。全ての教室にこの三つの石を配るとか。