読書感想文「裁判官の爆笑お言葉集」長嶺 超輝 (著)

 爆笑お言葉ではない。やむに止まれず発した魂の叫びだ。
 裁判官、判事は、毎日,おかしなヤツに会う。最大限、誇張すればそうなる。少なくとも仕事に従事、いや、案件を抱えている間は、法を犯したおかしなヤツが出てきた事案を考える。美しい判決文が、極めて精緻でありながら論理展開がスムーズでどの立場の者にとってもわかりやすく書き上げたとき、無常の喜びを得るのだろうか。それに類することを一生のうちに幾度か味わうことはあったとしても、大抵は繰り返される日常の日々だろう。
 そして、その毎日において出会うのは、基本、しょうも無い輩だ。生き物を育む喜びやお客様の笑顔がリターンとして得られる仕事じゃない。だからこそ、吐露するのだ。いや出ちゃうのだ、本音が、肉声が。
 もちろん、判決を書き、言い渡すだけが裁判官、判事の仕事じゃない。でもね、争い事からは逃れられない。そう思うと、職責を全うするため、日々、法服に身を包む彼らに感謝を伝えたくなる。