残る,首長と教育委員会との関係のあり方に進むか

中教審の答申が出た。

 文部科学相の諮問機関の中央教育審議会山崎正和会長)は10日、東京都内で総会を開き、安倍首相が今国会への提出を指示している教育関連3法案について、伊吹文科相に答申した。焦点となっていた文科相教育委員会への指示などを認めるかどうかについては、「必要とする意見が多数」とする一方、「地方分権の流れに逆行する」という反対意見を併記する異例の結論になった。また、文科省の改正案骨子にあった都道府県教委の教育長人事への国の関与と、私立学校への教委の指導については導入を否定した。

教委への国の関与は両論併記、中教審が答申
朝日新聞 2007年03月10日21時59分

 これについては,以前のエントリーでも,触れてきたが,いじめ問題を中心に機動的に動かない教育委員会に対して,なぜ,国は速やかな是正勧告をしないのだ?との世論の一部に押されて出てきたものだ。

 ただし,地方自治法による是正要求という手段もありながら,あえて地方教育行政法の改正に踏み込んだことで,首長と教育委員会の関係については,今後の課題となった。というのも,


○菅国務大臣 先ほど申し上げましたけれども、私は、地方のことについてはできるだけ地方が独自に決められるというのは、これは自然な姿でありますから、その観点に立って、閣内で当然、調整作業というのはあると思いますので、整理に当たっていきたい。

 ちなみに、知事会の会長からも、私に直接このことについての電話もありました。

○笠分科員 大臣、この点について、もう一点だけちょっと率直な受けとめ方をお伺いしたいんです。

 私も、教育基本法等の質疑で文部科学大臣と議論させていただいた中で、我々は、首長さんに権限をひとつ持たせて、これはあくまで選挙で選ばれる立場の方ですから、それが極めて民主的であろう、そのもとで、その首長さんの教育行政をチェックしていくような機関というものは、当然それぞれの自治体の中で考えて、またそういう機関、例えば教育委員会にかわるような機関であれ、そういったものをつくっていくことは当然必要なことだと思っているんですね、選ばれたからその人が何でもかんでもやりたい放題やっていればいいという話ではございませんので。

 ただ、それだと、首長さんに余りにも権限を渡すと、政治的な中立性が保たれないんだというようなことを繰り返し文部科学大臣はおっしゃるわけですけれども、私は、やはり選挙で選ばれて、そして今、神奈川でも、それぞれ知事さんであれ、それぞれの自治体の市長さんであれ、これは全国でも、熱心な首長さん、教育についてはまさにもう国を待っていられない、逆に自分たちの力でしっかりやっていこうという動きがどんどん広がっていますね。ですから、私は、地域の方々の見識あるいは力、そういったものを信じてやっていただくということの土俵に立って、やはり改革の方向を目指していくべきではないか。

 国の責任というのは、最終的な責任はもちろんあるんですけれども、教育行政の事細かな具体的な部分に、教育委員会を通じて、文科省の上意下達的なものを、力を働かせていこうというような方向は、やはりこれはちょっとおかしいんじゃないかと思っておるわけですけれども、その点について大臣の御所見を伺えればと思います。

○菅国務大臣 今の教育委員会が果たしてしっかり機能を果たしているかどうかということは、これは多くの皆さんが疑問に感じているという点も私はあると思っています。ただ、私は、地方分権という観点に立って従来どおりの主張をしっかりとしてまいりたいと思いますし、お互いに整理のできない問題じゃないというふうに思っています。

第166回国会 予算委員会第二分科会 第2号(平成19年3月1日(木曜日))


とのやり取りがあったからである。
いよいよ,首長に求められる資質基準が高まってきた,といえそうだ。