朝日新聞連載の4コマ漫画のいしいひさいちの「ののちゃん」No.3709(2007年(平成19年)9月18日)で,
<1コマ目>
ベテラン教師「いやはやカンニングもネット化です」
<2コマ目>
同僚「えーっケータイですか!」
ベテラン教師「いやアナログなんですがね」
<3コマ目>
ベテラン教師「答案用紙をこっそり回して」
<4コマ目>
回答用紙の注意書き「みんなで手を加え正解に近づけようではないか w 」
とあった。ほぅ,Web 2.0 じゃないか。と思った。「群衆の知恵」により,よりよい答えを導きだそうとする行為そのものじゃないかと。まぁ,まさにカンニングという不正なのだが,そこで,集団としての最適解を導きだそうとする「社会」としてのこのクラスの人的つながりや人間性の発揮ということすら考えさせられた。
思い出したのは,本田宗一郎。
人間の記憶力は,コンピューターで代用できる時代なのだ。そんなことに成長期のエネルギーを消耗させないで,もっと大切な人間性を高める方向に,充当してもらいたい。社会に出れば,「聞く」,「調べる」は自由だ。つまりカンニングは,勝手次第なのである。
p.111 「得手に帆をあげて」本田宗一郎
社会に出れば,誰かに聞けるし調べることだって出来る。しかし,記憶の試験においては,それは不正となる。誰かに聞くことの出来る能力,解決方法を迅速に調べる能力の試験は無い。これらこそ社会人として求められる能力であり,成功の近道だろう。そして,全体のためにもっとも適切な答えをみんなで導きだそうとする仕組みをつくる「力」こそ,これからの社会において重要視されるコミュニケーションスキルと言えるだろう。
本田宗一郎は,続けて,
私は考える。しっかりとした義務教育で人間性の豊かな,他人に迷惑をかけない人間となって社会に出れば,周囲から善意の指導,協力の手が差しのべられる。わからないことは誰かが教えてくれるものだ。人間の社会とはそういうものである。
p.111〜112 「得手に帆をあげて」本田宗一郎
と言う。いや,まったく,人間の社会とはそういうものでなくてはいかん。
- 作者: 本田宗一郎
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