カズ イズ ヤングエレファント


 ヤング エレファント = ワカ ゾウ である。
 かつて,「カズ」と呼ばれた頃があった。ただ,懐かしく思い出す,もはや今とは地続きではない時間だ。私は「若造」であり,その意味のとおり,生意気な未熟者であった。もちろん,こっ恥ずかしく,青臭く,イラついていて,と「若造」のサンプルのようだった。そんなワカゾーが,ヤングエレファントと誤訳されるくらいなのだから,愛されるべき鼻っ垂れ小僧として扱われていた。
 もちろん,今だって十分,身の程知らずのバカ丸出しで生きている。年長者から見れば,危なくてしょうがないのだろうし,青二才の若造である。みなさん,ゴメンナサイである。


 今日,ケータイのバッテリーをなくすドジをした。閉店直後のケータイ屋を訪ねたところ,閉じた自動ドアの向こうで若い男子店員がうなりを上げる業務用掃除機をかけている。何度かガラスの自動ドアをノックして,彼がこちらに気づいた。
「ケータイのバッテリーを無くしたので,対処したい。ここは閉店とのことだが他にまだ開いている店は無いか」
「ウチのショップは,どこも19:00までです」
「いや,キミたちの店の話ではなく,このキャリアのショップは他にもあるでしょ?それを知りたい」
「わかりません。電話で調べるしかないですね」
「はあ?」 だから,その電話がかけられないんだっての!
「………」
わたしがお前っていったい?光線を発している沈黙モードのとき,ちょうど,その店の奥から彼よりも社会経験がある風の人が出てきた。
「悪いけど,あちらの方と変わって下さい」
 結局,駅のそばに,そのキャリアの遅くまでやっている店があること,バッテリーは注文しないと来ないこと,バッテリーを変えるよりも機種変の方が安く上がりそうなことを聞いた。


 責任や権限が与えられておらず,経験や常識が未熟だと,どうしても狭く,内向きの理屈が先行する。ベストチョイスのつもりが,ネガティブでしかないことになる。張り切ったつもりが,空ぶっただけになる。
 若さはハツラツであり,恥ずかしい,という話である。