クルマにひかれそうになって,前のめりに一回転した(多分)


 左脇腹と膝が痛い。それと左側に落ちたので,身を固めた分,体の左側がだるい。
 自転車に乗っていて,交差点の右側から停止線を越えてやってきたクルマに気付き,とっさにブレーキをかけた。こちらもあわてたのでブレーキを全力でかけた。すると,後輪が勢いよく浮き,バランスを崩した。転ぶと,わかったが,交差点に飛び出してきやがって,このバカっ!と頭に思い浮かんだ。なにせ,恥ずかしいものだから怒りがわいてくる。少なくとも,さっき追い越した自転車のオバさん二人,飛び込んきたクルマのドライバーの3人には見られている訳だ。空中に浮いているところを。ドサっと落ちるところを。
 大丈夫?とオバさんに聞かれる。とりあえず,セーフティモードで再起動させた体は,デバイスに大きな損傷もないとノートン先生が言っていたので,大丈夫です,と答えた。まあ,実際は緊張状態なわけで,「動ける」程度の意味なのだが。それから遅れて,大丈夫ですか?とドライバーがクルマから声をかけてくる。貴様か,ボケ,何してんのじゃ。と思うし,お前が口にすべきは飛び出したことへの詫びだろう,とも思ったが,つい,大丈夫です,と答えた。つーか,体のあちこちが断片化してます,じゃない,あちこちイテテ,と感じ始めていたし,これからの用件をたすために,服は破れてないか,汚れてないか,などと気になりだして,こいつに構っていたくないとも思ったからだ。
 最低限の身体チェックを終え,自転車を見ると,チェーンが外れている。おいおい,この自転車で初めてだよ。前ギアの周りには広くカバーが覆っており,カバーの隙間に挟まったチェーンを直すにはてこずった。
 自転車に乗ってスッ転んだのは,何年ぶりだろう。おそらく10代のときだろうから20年ぶりの転倒か。あまりにも久しぶり過ぎて,全身に力が入ったので,明朝のリ・ブートは大丈夫だろうか,とも思う。電源は入ると思うが,あちこちでエラーが出なければよいが。
 痛たた。