東京は,もう工事現場ではありませんよ。


 都市景観をかじった人間ならば,東京タワーの赤・白ツートンは,決して評価の良いものではなく,「安全に配慮した法の規定」*1による景観破壊であった。そのことが東京タワーそのもののダサさとして,例えば,エッフェル塔の美しさに比べ云々,となかば揶揄されていた時期があったように思う。
 この様子が変わったのは,いつ頃だろうかと言えば,ライトアップされてヘリコプターからの映像で,くっきりとそびえる姿を見せてから以降だろう。光をもってそびえる存在は,大きなものの持つ拠り所の地位を獲得したわけだ。


 この東京タワーが,東京スカイツリーに取って代わられる。No.1の地位も,テレビの配信機能も。そして,むきむきと伸びゆく様子を,現代版ジャックと豆の木としてリアルタイムで共有している物語性においてもだ。


 東京タワーが存在しつつも,かつての大きな役目を終える。そのことは,象徴していたものも終えるということだ。それは,何か。赤・白の鉄骨の構造物の意味するのは,見上げれば,ビルを建造する屋上のクレーンの色だ。道路を掘削する現場を区切る柵の色だ。


 つまり,東京タワーが象徴していたのは,工事現場としての東京だ。常に建て,掘り返しを行う,「要:ヘルメット・作業服着用」の現場としてフラグが立っていた場所なのだ。


 そのその象徴がスカイツリーにとって代わられることによって,「工事現場としての東京」がやっと終わる。青みがかった白の「藍白」をベースにしたスカイツリーが,どんな東京を象徴するのか。そのことはスカイツリーの完成時まで待ちたい。以下のように,ブログで言及されている皆さんとともに。


やっぱり東京タワーは赤白がいちばんしっくりくるかも。


東京タワーはやっぱり赤白でいい: 風の探検隊

現東京タワーも赤白である必要は無いわけだが、今更鉄骨に亜鉛メッキはできないのでペンキ塗りはついてわまるのだが、それとて赤と白でなくてもいいはずなのだ。
赤白以外の東京タワー、はたしてどんな色が似合うだろう。


ブログ・ハイパーなんだかなぁ2: スカイツリーと東京タワーの色

東京スカイツリーは基本色が「白」(少し青みがかっているらしい)」。

でも、「白」も「青」も空の色ですよね?

同じ色だもん、そりゃ溶けちゃいますわ。

いまいち存在感ない理由はこの辺かなあ。

 

それに対して、現・東京タワーは「赤」「白」

さらに、夜は、冬場がウォームなオレンジ(写真のやつ)、夏場はクリーンな赤と白にライトアップされるときてる。

昼間は空の「青」に対象的なタワーの「赤」が映えて、かつ、タワーの「白」が効果的なセパレート効果で「赤」を際立たせている気がする。純粋に「赤」「白」の組み合わせの視認性は高いですし(標識とかによくありますよね)

 
東京タワーとスカイツリー: 色だけに、色々ありますカラー。

*1:航空法第51条に,60メートル以上の高さの物件の設置者は、当該物件に航空障害燈を設置しなければならず,同法第51条の2において,昼間において航空機からの視認が困難であると認められる煙突、鉄塔その他の物件で地表又は水面から60メートル以上の高さのものの設置者は、当該物件に昼間障害標識を設置しなければならないことになっている。この昼間障害標識が,赤・白ツートンであり,航空法施行規則第132条の2において,昼間障害標識を設置する必要がないと認めたもの及び高光度航空障害灯又は中光度白色航空障害灯を設置するものを除き,同施行規則第132条の3において,塗色,旗及び標示物の基準が定められている。