クルマは,新車で発表された際のテレビCMや新聞広告で使われた色がイメージカラーとして,その車のキャラクターなのだ,とメーカーが訴えてくる。もちろん,デザイナーの思い入れが通用する場合も希にあるだろうが,マーケターの曲解と上層部の古典的クルマ観が反映されることも少ないことと思う。
特にコンパクトカーの場合,CMは多くても力の入っていない車種だと判で押したように赤だったり,最近だと,青汁を薄めたような緑が各社で使われたりしている。
日本車で数少ない「見かけると視線を追っちゃうクルマ」である三菱 i も,イメージカラーがご多分にもれず,折角のキャラの濃さを生かしていない。
このトップページに掲げられた写真も,中央にラクダ色,その両隣には赤やメタリックが並ぶ。確かに,この車の生きものルックに,より親しみをもたせるために,色をして語らせるカラーリングを用いたいのだろうが,残念ながら,成功していない。実はこの車に合う色は白である。
ぜひ,他の色と比べて欲しい。他の色がキャラやフレンドリーを殊更語るのに比べ,白はデザインそのものを客観的に見て取れるように感じないだろうか。また,正面から見たときのアクの強さになっているタイヤ前だけのフロントオーバーハングの出っ張りも違和感が少ない。さらに,軽自動車としてのデザインの痛いところである幅の狭さについて,このクルマは後部から見たときに垂直方向に視線が誘導されてしまうので,不安感がどうしても出てしまうのに,白を選択すると視線がやや下がり,この面でも,白の選択は成功する。
三菱自動車 i が,候補にあるあなたは,個性の重視しすぎるとかえって個性を生かせなくなることを考えて色の選択をして欲しい。