これはイマドキの女子の成長譚。「和菓子のアン」を読んだよ。


 最近,読んだいくつかの本のうち,印象に残った一冊について書いておく。

内容(「BOOK」データベースより)
やりたいことがわからず、進路を決めないまま高校を卒業した梅本杏子は、「このままじゃニートだ!」と一念発起。デパ地下の和菓子屋で働きはじめた。プロフェッショナルだけど個性的な同僚と、歴史と遊び心に満ちた和菓子に囲まれ、お客さんの謎めいた言動に振り回される、忙しくも心温まる日々。あなたも、しぶ~い日本茶と一緒にいかがですか。


Amazon.co.jp: 和菓子のアン: 坂木 司: 本


 まあ,確かに,こんな話しだ。
 初々しい,アルバイトの立場でありながらも,経験を積み,知識を増やし,その職場において,かけがえのない人材となっていく,そんな話しだ。
 上記の内容紹介に「プロフェッショナルだけど個性的な同僚」とある様に,くり返されるべきは,この「プロフェッショナル」ということ。食料品製造販売店としての誇りやあるべき態度がわかりやすく書かれている。うなずける人も多いことだろうと思う。そして,主人公のアンちゃんこと杏子ちゃんは周りに恵まれ,彼女の,まだ狭き視野と経験だけども,しっかりと進もうとする姿にこちらも微笑む。
 和菓子にまつわる蘊蓄,いやエピソードも楽しく,和菓子への愛情たっぷりの一冊とだけを言ってしまうには惜しいほど,実は,いまどきの非進学組の女の子たちが社会に出て,なんとか1年を終えようとする − そんなことを語ってくれる一冊だ。
 これからの社会はどうなってしまうんだろう,と日々,嘆くあなたに,「気を病むより,こうしたアルバイトから社会人生活を始める,今の子たちを温かく迎える「プロフェッショナル」であろうとすることが,何より大事だよ」と教えてくれるはずだ。
 そんな読後感を,ぜひ,共有してもらいたい。


和菓子のアン

和菓子のアン