読書感想文「選択の科学」 シーナ・アイエンガー (著)

 自由と損得の話である。
 人は,「選びたい」のだ。自分の意思や気分,欲求によって,選択したいのだ。そして,選べることそのものに自由を感じるのだ。わーい,コッチにするー。子どもか。
 その一方で,人は迷う。どーしよー。コッチもいいけどー,でもなー,アッチもー。早くしなさい。どっちがイイの!もう,行っちゃうわよ。置いてくわよ!じゅあ,イイ!えっ?あんた,欲しいって言ってたじゃない?どーすんの。もう,イイの!イイって,あんた,わざわざ来たんじゃない,決めなさいよ。だけど,イイの。もう。えーん。である。
 どちらも欲しくても,コレである。選択肢が多過ぎても,ましてどちらも選んでもネガティブな結果とならざるを得ない選択であれば,なおさらに選べない。選ぶことを,あれだけ希求していたはずなのに。
 専門家への助言や相談,リコメンドが重要である。そのために,専門家として選ばせる側の表現は丁寧であらねばならない。そして,自分自身の直感と熟考による判断と,その判断を受け入れる覚悟が最良の選択となることを我々は,この一冊を通じて知るのだ。


選択の科学

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