読書感想文「愛するよりも愛されたい 令和言葉・奈良弁で訳した万葉集1」佐々木良 (著)

 古文の副読本に採用決定ではないか。
 聞こえるのだ。中高生の「ギャハハハ」「バッカじゃない」「やだー」が。所詮、歌だ。思いの丈を叫んじゃった結果だ。カッコいいはずはないのだ。冷静になったとき、くだらねーと思うのだ。
 万葉の言葉遣いを解釈から先に知ったっていいのだ。いや、むしろノリや雰囲気から伝えたかった気持ちを先にわかることで歌を味わうことができるようになる。そして、その授業の半年、1年後、3年後、5年後、10年後、心に引っかかった歌が気になって、この本を開くとき、歌を覚えるまで反芻するはずだ。
 先祖はエラい。美しい歌を残したからじゃない。口ずさまずにはいられなかった情感たっぷりで人前じゃとても言えないよう個人的な思いをわざわざ残したことが、だ。そう、ご先祖さまご一同もバッカバカしいことに一生懸命だったのだ。いーじゃねーか、俺たちもくだらないことに現を抜かしたって。1,300年前からこのノリだぜ。