ケータイとイエデン 旧・Column Kazuhiro 2000

 この3月末でPHSを含む携帯電話の加入者数が,ISDNを除く固定電話の加入者数を追い抜いたのだそうだ。こんなうさん臭い数字の操作に惑わされたくもないのだが,ケータイが主流になったのは間違いなさそうだ。やがて,全てがデジタル化し,イエデンにロール紙がついたFAXや,マイクロカセットの付いたルスデンも博物館行きとなるのも時間の問題だろう。
 「家電(家庭電化製品)から個電へ」の時代が過ぎ,電話といえばケイタイのことで,イエにあるのはイエデンと別称がつくまでになったことは,単なる社会事象や風俗としてではなく,民俗学文化人類学でいわれたイエ(制度)を,最後まで象徴していたイエデン(○○家にとって社会との接点が,一つのイエデンに集約され,そこに家族の力関係も反映されていたこと)の衰微として受け止めるべきだろう。
 それはきっと,僕らにとっての新たな家族像の希求の始まりでもあるのだ。
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