職場の焼き肉イベントでゾーリンゲンのハサミを貸したら戻ってこなかった件


 以前の職場でのこと。
 なぜか,私の事務用ハサミは,とてもよく切れるゾーリンゲンのハサミで,重宝していた。多くの枚数を一度に切れたり,固い厚紙が切れたりというわけではなく,切り心地が気持ちよいのだ。なので,このハサミでサクサク切るのが好きだった。

 年に一度の職場の焼き肉イベント当日,準備をしていた職場のスタッフがハサミを借りにきた。食材の袋を切るためらしい。じゃあ,私のハサミを使えばと勧めると「えー,こんな立派なのいいんですか?」と言う。返してくれれば,それでイイと言って貸す。タレや野菜汁がついても拭けきゃあイイくらいに思っていた。

 翌日,ところでハサミは?と聞くと「わからない」と言う。はぁ?キミは私から借りたのだけど。結局,準備を終えると,そのままイベントが始まってしまってわからなくなってしまったとのこと。「ふざけんな,あのハサミはゾーリンゲンの…」と口にした。いや,地団駄を踏んだ。

 以来,あのシャキーン!と小気味よく開閉するハサミとは出会っていない。ハサミにいちいち,官能性を求めるのも,どうかしているのかもしれないが…。そういや,ゾーリンゲンというのは産地名でメーカーではない,というのも後から知った。