たまさか

(1)思いがけないさま。たまたま。万一


たま-さか 広辞苑第五版


 私が大変,お世話になっている経営者がよく口にする。「たまさか,〜なだけであって」,「たまさか,そういうハンディや障害を持っている」,「いいか,お前たちが,たまさか,そういう身分にあるということなんだぞ」。意味は当然,広辞苑のとおり。
 人は持って生まれてしまったもの,どうしようもない現実を受入れしまわねばならないということがある。それに対し,すねたり,逃げたり,斜に構えたり,その身分に甘えたり,または権力をふりかざしてみたりする。しかし,それは,「たまさか」そうなのであって,仮にそうした状態に無いならば,どうであろうか,本来,どうあらねばならないのだろうか,この問いかけのもと行動すべきなのだ。
 世の中,どうしようもないことばかりだし,それは年齢を重ねるが故に呪縛も増える。その一方で自由になることも見つかる。また,無限の可能性は,気がつけば地平線までの荒野がベランダのプランターの大きさにしか残っていなかったりもする。それでも,自分を保ちつつ前に進む,平穏かつ円滑に。今,自分を囲む全てと目の前にあるアレやコレやを,「たまさか」ととらえながら。