読書感想文「十代目 柳家小三治 (別冊太陽スペシャル)」

 写真に写す人間国宝である。対談,そして弟子の言葉である。私にとって小三治師とは,花王名人劇場である。その頃は,タレントとしてテレビにもよく出ていて,バイクの話しもしていた。たいてい北海道へのツーリングだったように思う。どんな噺をしていたろうか,いや,そもそも好きな落語家だったか,当時,私にはニュートラル。ただ,まくらは好きだったはず。そんな小三治師がいつから,私にとってチャーミングになったか,いや世間の皆さんにとっても魅力的になったのは,ジジイになってからだろう。何か,怒っているオジサンだったのが,枯れてかすれて聞き手に具合がよくなったのだ。
 とはいえ,この一冊で分かるのは,この人の世の中に対してのムズムズは,ずっとしたままなのだ,ということ。そして,円菊の高座(での態度)にも文句があるということだ(!)。
 ちなみに書籍版(というか原作)の「日々是好日」の後書きも小三治師である。


十代目 柳家小三治 (別冊太陽スペシャル)

十代目 柳家小三治 (別冊太陽スペシャル)