読書感想文「異教の隣人」釈徹宗、 細川貂々著

 平成が終わる日本における必読書である。
 これまで多くの新宗派や新興宗教を生みながらも,「日本」に包摂してきた我らが,他の宗教を並立させながら,この国を営んでいくために必要な視点を提供してくれる一冊だ。日本に,非日本人として生きることを望む人たちが既に多く住んでいて,そんな彼らと僕らは共生していかねばならない-そんな時代に僕らは生きている。日本語を話し,年越しそばを食べ,紅白を気にし,雑煮やおせちを食べ,初詣を話題にし,節分だ,節句だ,盆だ,彼岸だ,ハロウィンだ,クリスマスだ!を共通理解していることを前提としない人々を隣人として向き合う時代なのだ。
 自分たちが引き継いできた言葉,文化,生活習慣を維持するための拠点として,寺や教会などの宗教施設が教育機関,相談所,慰安保養所として求められている。ただの因習・習俗の場所ではなく,実質的な意味が彼らの宗教施設にはある。日本のリビルドとは,足元にある。


異教の隣人

異教の隣人