読書感想文「機嫌のデザイン まわりに左右されないシンプルな考え方」秋田 道夫 (著)

 自分を世の中にどう置くか。
 その置き方を考えるとき、自分自身を観察することになる。表情であったり、服装であったり、身のこなし方であったり、所作だったり。そのとき自分の軸がたいせつになるが、実はその軸も周りとの関係やその時々で、案外、位置は変わるものだ。だからこそ、日々、自分自身と周りをよく見ることだ。
 ツイッターでバズるデザイナーである松田道夫の言葉は、デザイナーとしての了見から出てくる。なので、彼のアウトプットであるツイートは、デザインのプロセスを経たものだ。つまり、職業人のなせる技なのだ。
 ノン・デザイナーの我々は、日々の生活、仕事、発言などを、特にデザインしようとはしていない。思うままにやっている。意図や意思、自分のアウトプットを受けた相手がどう思い、どう感じるから、ああしよう、こうしようとまでは普段は意識しないし考えない。それは他人のために自分が擦り切れるように気を遣おうということではなく、丸太や石の塊りから自分の像を掘り出すように、周りからそう見られたい自分、受け取られたい自分を意識することだ。だって、そうしたいんだから。
 そして、機嫌を保つ、情緒を保つとは、自分を見失わないように、平熱、平常心を保つということだ。だからこそ、笑顔をつくることだ。機嫌がいいから、笑顔になるんじゃない。笑顔を作れるマインドがあるから機嫌を保つことができるんだ。