一つ一つの現場への不信の増大が,統制を招くことになった。


 と,言えるのではないか。

 文部科学相の諮問機関の中央教育審議会は3日、都内で会議を開き、政府が今国会への提出を目指している教育関連3法案について審議した。3法案のうち最後まで意見がまとまっていない地方教育行政法について、文科省案にある(1)都道府県教委の教育長人事に国が関与する(2)私立学校に教委が指導する権限を与える――の2規定は削除し、(3)国が教委に是正を求める権限の強化が残される見通しになった。

(略)

 この日の議論は、国と教委の関係に集中。山崎正和会長は最後に「教育長の任命権は全面的に自治体に委ねる。その代わり、強力な大臣の事後的チェック機能を加えるあたりが落としどころでないか」と述べた。私学への関与については、会議終了後、記者団に「将来的に練って、そのうえのことだと思う」と消極的な姿勢を示した。


教育長人事への国の関与などは削除の見通し 中教審
2007年03月03日20時51分 朝日新聞


 教育委員会への不信が渦巻いていることに「何らリアクションしてこなかった」と言っているに等しい結果といえよう。


 いじめによる自殺で教委が対応を怠るなどの緊急事態に限り、文科相による是正勧告や指示を容認する内容を答申に盛り込む。

 文科相都道府県教育長の任命に関与することや、教委が私立学校に「指導」することには反対意見が多く、認めない方針だ。中教審は10日に総会を開き、伊吹文科相に答申する予定だ。

 会議では、石井正弘岡山県知事らが、地方自治法が「公益を害している」場合、各大臣が都道府県に是正要求が出来ると規定していることを指摘し、「現行法で十分だ」と文科相の権限強化に反対した。文科省は「現行法では、具体的な是正内容は自治体の判断に任される。確実な是正を担保するには『勧告・指示』が効果的だ」と主張した。

 出席者からは、〈1〉手続きの透明性を確保する〈2〉第三者機関を設置し、文科相の指示について意見を聞く――などの条件を付けた上で、是正勧告・指示を容認する意見が複数出された。地方団体らの反対意見を答申に付記する可能性が高い。


文科相、緊急時には教委に是正勧告…中教審答申へ
2007年3月4日3時5分 読売新聞


 地方自治法との整合性の問題を指摘されるくらい事務局の文部科学省はわかっていてのことで,そこまで,やりたくてやっているとは思えない。そこまで文部科学省を追い込んでいる「問題への解決力のない棒立ちのままの現場」へのいらだちが,こうした答申を生んでいる。


 もう,しばらく,この問題は注視しよう。