政策仕分けでやってた「地方税財政のあり方」についてメモ


 過ぎてしまえば,もはやブームが去った程度の扱いなのだろうけど,ちょっとモデルチェンジした「仕分け」の提言型政策仕分けが,20日ほど前に終わった。
 その中で,地方税財政について論じられていたので,メモがてら。

 国と地方の財政の関係性については、地方が自己決定・自己責任で事務を行い、その財源は地方が課税自主権を発揮して地方税を中心に自主的・自立的に調達すべき、地方交付税の国への過度の依存を絶つべき、(略)当ワーキンググループとして、国への依存・国による支配から脱却し、地方の一層の自立を可能とするような仕組みとすべきということを提言する。


B4 : 地方財政地域主権型の地方税財政のあり方
2011年11月21日 - 提言型政策仕分け詳細と結果速報 | 提言型政策仕分け

 また、地方の税収確保策については、まずは個人住民税や固定資産税の増税で自立を図っていくべき、住民(居住者)課税を中心に個々に課税自主権を行使すべき、地方消費税は地方で負担していることを明確化する意味でも分離すべき、(略)地方税における課税自主権を充実・強化し、課税自主権の発揮できる地方税目を充実させるべき、また、国の付加税からの分離を検討すべきということを当ワーキンググループの提言とする。


B4 : 地方財政地域主権型の地方税財政のあり方
2011年11月21日 - 提言型政策仕分け詳細と結果速報 | 提言型政策仕分け


概ね,概視感があり,とくに目新しさを感じないのだが,ここまで繰り返し,課税自主権が言われても,例えば,「地方六団体等からの税制度のあり方等に関する意見」として,課税自主権の拡充を求めているのは,地方六団体のうち,全国知事会だけであり,むしろ,地方分権の本質である課税自主権に地方の側がどこまで主体的に取り組む気概があるのかが,問われている。
 少なくとも,この政策仕分けの結果を受けて,いまは地方側のターンだということだろう。全国知事会だけでも動くのか,地方六団体が足並みを揃えるのか,揃えることができないのか,ノーリアクションは,あり得ない。
 ちなみに,全国知事会は,課税自主権プロジェクトチーム会議を置き,議論が進められているようだ。全国市長会は,どうか。平成16年当時に「課税自主権は重要であるが、その活用には限界があり、税源移譲には代わりえない」と「真の三位一体改革の推進に関する提言(概要)」で言っていたのを繰り返すのだろうか。政策仕分けで言われた「地方税目を充実させ」られた時には,否が応でも課税自主権に向き合わなくてはならなくなるのだが。

 地方交付税制度の在り方については、(略)財政調整機能と財源保障機能を分化して地方交付税は財政調整機能(税収格差是正)に特化するべき、(略)地方財政計画の抜本的見直しを進めつつ、地方交付税算定の簡素化・透明化等の見直しを進めるべき、さらに、国が関与しない財政調整の仕組みを検討すべきということを当ワーキンググループの提言としたい。


B4 : 地方財政地域主権型の地方税財政のあり方
2011年11月21日 - 提言型政策仕分け詳細と結果速報 | 提言型政策仕分け


財務省財務総合政策研究所から2001年に出された「主要国の地方税財政制度の概要 (イギリス・ドイツ・フランス・アメリカ) 」によれば,交付金制度の無いアメリカ,地方税収入の比率が高いドイツ・フランス,日本にやや近いイギリスと,各国で財源の状況に違いがあり,国が関与しない,ということについては,もう少し議論を深める必要があるように思う。つまり,地方交付税は,地方債発行を含めた財政規律を含めたカタチでの議論としないと実効性が乏しくなると思う。


 以上,せっかくの政策仕分けについて。