「経済学の教科書」とやら。


 一昨日,高橋洋一の新書をもとにエントリーを書いたが,同書のまえがきに,こうある。

 ちょっとした経済学の知識で,ずいぶんといろいろな政策問題を語ることができるのです。


p.13 霞が関埋蔵金男が明かす「お国の経済」(高橋洋一


同書には,こうした「経済学の教科書では」などとする記述が多い。オマイラ,経済学知らなさ過ぎ,もしくは,習ってるはずなのに勉強しなさ過ぎ,が高橋の心中だろうか。
 では,経済学の教科書を開いてみようか。手元にあった本は,

第1部 経済の基本概念
 経済学とは何か
 経済システムと意思決定
第2部 ミクロ経済学
 需要
 供給
 価格と意思決定
 競争、市場構造、政府の役割
第3部 マクロ経済学:制度
 政府歳入
 政府歳出
 貨幣
 連邦準備制度と金融政策
 投資、市場、株式
第4部 マクロ経済学:政策
 国内総生産
 人口、経済成長、景気循環
 失業、インフレーション、貧困、経済的安定の達成
第5部 国際経済学
 国際貿易
 発展途上国
 世界経済の課題


アメリカの高校生が学ぶ経済学 原理から実践へ (単行本):ゲーリーE.クレイトン (著), 大和総研教育事業部 (著), 大和証券商品企画部 (翻訳)

なのだが,原著タイトルは「Economics: Principles and Practices」で,忠実に訳すと「経済学:原理と政策」であり,上の目次の内容が原著書名の意味するとおりであることがわかる。「原理から実践」という邦訳書名といっても個人の投資指南に直接なるわけではない。
 教科書とは,頭から順序よく読み進めていくことが正しい。つまみ食い式にページをめくっても,かえって理解を妨げる。そんな気にさせてくれるのだが,高橋が語っていた金融政策についてのページをたどってみることにする。

FRBには金融政策を実行するために重要なツール3つと,重要性が低いツールが2つある。


p.160 アメリカの高校生が学ぶ経済学 原理から実践へ


これら5つを使って,金融緩和,金融引き締めの両政策を実行するのだという。重要な3つのツールとは,1)預金準備率の変更(議会が設定する限度内で,FRBはすべての当座預金,定期預金,普通預金の預金準備率を変更できる),2)公開市場操作(金融市場での政府証券の売買),3)公定歩合,だ。残りの2つとは,「市場との対話」「貸出統制」である。この本によれば,マネーサプライを変動させる金融政策のうち「最もよく知られている」のは,公開市場操作だという。へー,だし日本じゃありえねー,である。日銀がせっせと国債を買い入れるのは想像しにくいからだ。
 ところで,アマゾンでの読者平均評価が星3つ半が気になる。豊富過ぎる内容のため,これでアメリカの高校生は経済学を勉強してんのかよ!と言いたくなってしまうためか。
 まずは,順序よく読んでみることにしよう。



アメリカの高校生が学ぶ経済学 原理から実践へ

アメリカの高校生が学ぶ経済学 原理から実践へ