農民と武士:映画「7人の侍」を見たよ。


 昨晩,「没後十年 黒澤明特集 BS2で監督作全三十作放送」の「あなたが選んだ黒澤アンコール 結果発表!」で映画「7人の侍」を初めて見た。
 モノクロ映画なのに色が見えるようで,音楽も素っ気ないようにも思うが,音楽として十分,主張もあり楽しめた。これから何度か見なおすと演出やキャストについて思うことも出てくると思うが,最初に作品全体として感じたことを書いておこうと思う。

野武士に襲われ困窮する農村を救うべく集った個性的な七人の侍が、百姓との軋轢を乗り越えつつ協力しながら野武士と戦う物語。


七人の侍 - Wikipedia


 と,あるとおりのあらすじで,全編で農民と武士の対比が描かれる。そのことを中途のセリフやラストシーンについての言及で指すことが多いのだろうが,私は「学」の有無という点が違いなのだろうな,と思った。当然ながら知識や技能の量ではなく,モノゴトをとらえる力,思考の型や基礎の訓練の違いなのだろうな,ということだ。たとえば,武士には論語孫子があるのに対し,農民には念仏しかない(と描かれているように私は見た)。予期される災いに嘆くたけで,モノゴトを客観的にとらえ考えようとしない姿勢に,反発やいらだちを感じる人は多いのではないだろうか。そうした様はイヤだな,ああはなりたく無いな,と思った人が武士たらんとして,生き方を模索したし,実際に農家の跡取りであることを拒否することにもつながったのだろうな,と思う。
 ただ,そうは言っても,ほとんどの日本人は農民の子孫なのであって,

侍七人の仲間のうち生き残ったのはわずかに3人。満身創痍となり、ただ、その墓の前で冥福を祈るだけ。
一方で、農民達も同じ様に犠牲者を出しながら、翌日からは何事も無かったかのように普段どおりの日常を繰り広げ、同じ様な囃子とともに田植えを行う。そのたくましさとふてぶてしさを賞賛したわけです。


映画「7人の侍」で最後に「我々が勝ったのではない、農民が勝ったんだ」 - Yahoo!知恵袋


現実をあるがままに,自分たちをアジャストして生き残ってきた我々というのは消せぬ真実であり,と。
 つーことを感じながら見たわけですが,オススメです。


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