「素直さ」が商売の基本であるということ


 先日,職場近くで出張販売が出ていた。パン屋さんだった。
 私は,そのパン屋を以前から知っており,朴訥としたパンだけではなく,数種類あるラスクが好きだった。残念ながら,平台の上にはラスクが無く,まだ食べたことの無い種類のパンを買って昼食にした。
 会計を済ませた際,販売員の方に聞いてみた。ここのお店にはラスクはありますよね。今日は無いんですね。前に食べたとき,美味しかったんですよ。
 彼女が言った。えぇ,今日は持ってきてないんですよ。お店には,いつもあります。
 おそらく,そうなのだろうし,実際,お店に行くとあるのだろう。だが,違うのだ。状況の説明を聞きたいんじゃないんだ。そう,私のリクエストとは,今度,出張販売に来るときにはラスクを持ってきてほしい。できれば,次の出張販売の日程が決まっているのであれば,それも知りたかったのだ。言外に,言ったつもりなんだけどな。
 「状況説明」や「解説」ではない,気遣いや心配りが,商売のチャンスを生むということだ。彼女には,次,持ってきますね。次は,●月●日ですよ,と言ってほしかった。そうすれば,私は確実に買ったのに。
 知的であるが故に,情報提供をしてしまうことで相手の質問に「答えた」ことになってしまう。しかし,相手そのものに「応えた」ことにならない。相手に向き合う素直さがキーなのだろうな,と思う。難しい?そうかもしれないね。