小樽で立川志の輔を聞いてきたよ。


 昨日,明治大学小樽紫紺会設立50周年記念チャリティー寄席「立川志の輔独演会」へ出かけてきた。小樽も暑く,札幌から小樽までの列車の窓からは,海水浴する人たちの姿を眺めながらの行きの時間となった。
 折角なので,駅を出てそぞろ歩く。列車から見えたサンモール一番街のアーケードやドームの写真撮影した後,連れの「行きたいところ」をぐるぐる廻るのだが,まずは「小樽運河ターミナル」。ここの「あまとう」で一服。日差しが強いので,この「いかにも」な建物で休憩がありがたい。この後は,臨港線を歩いて「かま栄」の本社工場へ。同社のホームページにすら載っていない限定の「パンドーム」を食べる。「パンロール」は,道内あちこちで食べられるようなので,レアものとして「食っとけ」の類い。オリジナリティも高いし,オススメだ。
 この後,堺町本通に入ると,強烈な「観光地街」を抜け,すっかり遠回りすることになるのだが,ぐうぜん,パン屋の「亀十」前を通る。何とも懐かしいパンと出会う。ここは,もう一度,訪ねたい。夕方になり,落語前に補給をと,行き過ぎた道を戻りながら,寿司屋へ。観光パンフには載っていないが,かなり大きな店の「庄坊番屋」に入る。これが大正解。小樽の寿司職人の技とは,こういうものなのだろうな,と実感できる。ちなみに,チラシ寿司とアナゴ丼を食べたが,ふっくらと香りのよいアナゴ丼には,少し驚いた。すでに,市民会館へと続く公園通り。もうお腹に入らないはずだが,道すがらの「小樽ミルク・プラント」へ。暑い日だったこともあろうが,まあ,人の入ること入ること。人気店なんだね。それでも,場所故だろうか,落ち着いた雰囲気も感じられて,私は好きだ。
 さて,本題。会場の小樽市民会館には,好客が集まっているのが感じられる。とりわけ年配の方が多いのだけど,品のいい感じ。ここら辺は小樽の底力なのだろうね。びっしり埋まった客席で開演を待つ。
 演目は,


立川志の彦 「狸の札」
三遊亭全楽 「持参金」
立川志の輔 「親の顔」
 (仲入り)
藤木勇人  「沖縄のおばあ」
立川志の輔 「八五郎出世」(「妾馬」)


19:00開演という遅いスタート。開演前のチャリティーの贈呈セレモニーなどもあっての開演。オペラハウスのような大ホール。いろいろな状況ではあったな,と思いつつ,以下,感想。
 志の彦は,落ち着いていたように思う。昨日の札幌の出来もよかったのではないか。きちんと噺に入っていけた。

まくらの面白さ、完成度にも定評のある全楽師匠だが、 なぜ売れない・・?と立川志の輔師匠は不思議がっている。


三遊亭全楽のMUDABANASHI


の全楽師匠。いわゆる落語家さんをイメージではなかろうか。ちなみに,

元立川国士舘の全楽さん、「立川流では裏切り者、円楽一門ではよそ者」と 自虐的な自己紹介で笑いを取る。


立川志の八二ツ目昇進記念の会|落語がいちばん


とのこと。どおりで,安楽(二つ目)→全楽(真打ち)の名前に触れるわけだ。
 ここから,お待ちかね,志の輔師匠登場。マクラが固い。会場は,明大関係者ばかりではないのだから,もう少し,気楽にやってはどうか,と思うが,大学話に触れる。やがて,子どもの想像力の話しとなり,ピーンと予想どおりの「親の顔」。この展開は,昨年(2009年)6月27日の深川市での志の輔独演会とまるっきり一緒なんだもん。出来はとなると,うーん,悪くはないのだろう。だが,急いでいる。端折っているし。昨日早朝のW杯日本−デンマーク戦を観戦したのか。それとも,札幌での打上げの疲れが出たか。
 仲入りの10分がずいぶんと短く感じられた。幕が上がると,高座に三線が置かれ藤木勇人さん,登場。唄と笑いの効用についての話しが客席を一つにしていただけに,前半の「おばあ」話しをあんなにも引っ張らなくてもよかったのではないか。それにしても,会場のみなさん,沖縄の唄,あんなにも合唱できるとは。不勉強が恥ずかしくなったよ。
 さて,いよいよ,志の輔師匠再登場。時間が押しているのを気にしているのだろうか。全体にはやいのが気になる。マクラを聞いていて,今回も気付く。あ〜,深川で聞いたのと一緒だ。仲入り前も後も,両方とも一年と同じ噺を持ってくるかよ。客層が読めない時は,このパターンなのか?とも思う。小樽では初めてと言ってたもんな。今回の「八五郎出世」,「親の顔」と同様に短縮バージョンなのだが,筋が前回聞いていた時と少し違う。殿様の前で八五郎は,すぐに酔っぱらう。一番,大きな杯で呑んでしまった後は,すぐに出来上がっている。なので,順々に酔っていく段階が無い。また,グッと泣かせるようにサゲない。もう一つ,ここは私が好きな改善点があったのは,酒の飲み干し方だ。舌を口の中で弾ませて,飲み干す擬音がどうにもわざとらしく好きになれなかったのだが,今回は,それが改善されていた。
 26列で,舞台からはるか遠いこともあり,いろいろと思うことのあった今回の志の輔独演会。同じ噺家を二度見るということとは,どういうことなのか。次回へとリベンジを誓って小樽を後にした。



追記:三遊亭全楽師匠のネタを,「「?」…垂乳根(改)か?」と書いていたのを,持参金と修正しました。