文科省も認める「二つのこぶ」


 3日前の新聞に見過ごしそうな投稿記事があった。

学力調査の実施に際しては義務教育終了時までに誰もが身につけるべき内容を、具体的によりわかりやすく提示することが望ましい。いわば到達すべき目安の明確化だ。そのうえで目安に達しない児童生徒については、卒業までにそれらがきちんと身につくように手厚い個別指導などを行う。このことにより学力分布のふたこぶ型、とりわけ低学力のこぶの層が解消できればいい。


(おりはらまもる 元文部科学省主任視学官)
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11996433.html


 学力分布のふたこぶ型?学力は正規分布じゃないのか。「学力 二つのこぶ」で検索すると,まあ,出るわ出るわ。しかも,随分と以前から二つのこぶが指摘されていた。だが,教育業界でこの話題が共有されているのだろうか?相変わらず「平均点による都道府県別順位などが大きな関心事」ではあるが,「二つのこぶ」が解消すべき課題として議論されているだろうか?

 中学生になると,親の経済力(経済資本)だけでなく,家庭の教育環境(文化資本)や人関係の豊かさ(社会関係資本)の格差がダイレクトに学力に結び付く。

 小学生は「頑張れ」と言うと頑張る。でも,中学生になると自意識が生まれ,勉強に向かい続ける子どもと,そこから背を向けてほかの世界に向かう子どもに分かれる。背を向けた子どもを引き戻すのは大変だ。


p.56 学力は家庭と学校の力の掛け算 大阪大学大学院人間科学研究科教授・志水宏吉 「週刊東洋経済2014年9月20日号」
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経済資本,文化資本社会関係資本をどれだけ豊かにできるかが問われている。この重過ぎる課題の解決が求められている。