読書感想文「最新の脳研究でわかった! 自律する子の育て方」工藤勇一 (著), 青砥瑞人 (著)

 全てはマネジメントである。チームを機能させるのも,子どもたちが生き生きと暮らすのも。
 仕事を動かすのはチームワークだ。チームを構成する個々人が活躍して始めて成果になる。そのためには,リーダーたるマネージャーがチームメンバーの様子に常に気を配り,メンバーの成長を願いながら,日常業務を通じてその成長を助けていくのだ。そこで陰日向に,メンバーに声をかけ,問いかけ,気合を入れ,労う。何ともまだるっこしい役割なのがマネージャーだ。だが,組織のとしての目標達成とメンバー個々の成長を確認できる仕事だ。
 子どもたちの成長の場である学校はどうだろう。工藤校長が説く教師に求めるものは,マネージャーの心得とまるで一緒なのだ。どういうことだろう。マネージャーに求められるのは,チームメンバーとキャッチボールを繰り返しながら,自発的に仕事に取り組む姿勢,問題を解決する姿勢を高めることだ。ボールを投げたつもりでも相手は受け取ってもらえているかはわからない。なので,何度も繰り返してボールを投げてみる。もう一球ボールを来るのを待っているかも知れない。受け取ってくれたボールは,こちらへ投げ返す動作に入ってくれただろうか。こちらは常に捕球の体制に入っていなくちゃならない。
 教育現場でも,個々の子どもたちとの当たり前のチームビルディングである。翻って見れば、麹町中の取り組みとは,本来必要とされることをやっただけだ。当たり前のことをやって注目されるとすれば,その他大勢の異様さが浮かび上がってこないか。当然のコミュニケーションやマネジメントが無い教育現場に日本の子どもたちはいるのだ。