読書感想文「「言葉にできる」は武器になる。」梅田 悟司 (著)

 説明用の資料をまとめようにも苦労する人がいる。せっかく作っても頓珍漢な中身にしかならない人がいる。この本は,そのことの本質を突いた。
 なぜ,伝わらないのか。違う。伝える中身,本質があやふやだからだ。そもそも伝えたい気持ちが薄かったり,やらされているだけで,そもそも伝えたくなんてなかったり,何を伝えたらいいのかわかっていなかったり,と伝える気がないんだから伝わるわけがないのだ。
 真剣に伝えようとする時,自分自身との対話がある。伝えたい一番の核は何か。伝えることで相手にどんな気持ちになってもらいたいか,どんな反応を得たいか,どんなアクションをしてもらいたいか。そのことを自分自身に問うのだ。
 だからこそ,この本が言う内発的な動機,内なる言葉が大切だ。伝える中身がないんだったら伝わるわけはないじゃん。もちろん,作文技術や資料をまとめる型を習得することで自分自身の頭の中の整理にもなるだろうし,事実と意見の区分けも大事だろう。だが,表面的なスキルはダメなんだよ。言いたいことはなんだい?お前さんは何をしたいんだい?「言葉にして」武器を得てどうなりたいんだい?いったい何なんだい?
 問われることは重い。