リアルとのつき合い方もほどほどにしよう


 ネットへの没入は危険であり,画面の向こう側への信用の増幅はバランスを崩すようになるとの理屈は,ステレオタイプな説教の一つとして繰り返されていることだと思う。これには,2つの視点から見ていく必要があるだろう。一つはネットの生理現象,心理に及ぼす影響であろうし,もう一つはネットは信用に足りうる存在なのかどうか,という問題でもある。前者については医学的な知識を持ち合わせないため言及できない。後者のネットの信用問題について,話しを進める。


 信用といってもセキャアなネットワークかどうかというシステムアーキテクチャやハード設計の話ではない。もう少しべたな「お前は信用のおけるヤツだ」の意味の話だ。信用できる相手かどうかは,あくまでこちらの側からの評価である。相手がコレコレの数値指標を示したところで,信用が自動的に発生してくるわけではない。相手と時間と情報を共有することで互いの共通認識を踏まえた経験の度合いが信用の有無・多少に関係してくる。


 そうであるならば,ネットにおける信用とは,自分が画面の向こう側に自分の身を置き,エントリーという分身を常時配置させて時間と情報を,共有することで産み出しいくものとなるだろう。すると,ネットとのつき合い方をほどほどにしましょうなどということにはならない。むしろ,直接に影響するリアルとの距離感を保つことで,頭の中をリアルによって占領しつくされないためにも,ネットへの信用を高めるため情報発信を密にすることが,バランスを保つ上で必要なこととなるわけだ。


 自分自身を守るためにも,リアルとのつき合い方もほどほどにしなくてはいかん,という話しである。