そういや,同級生が窓から落ちてたな。


 よくまあ,事故にならなかったって話しだ。ガキの頃は無茶苦茶やってたんだなあ,と思うし,ホントに無事で済んだだけだったんだなあ,とも。
 私の小学校は昭和初期の帝国陸軍の恩寵を受けた立派な建物で,信じられないほど階段はゆったりとしていたし,廊下の幅,各所に配置された水飲み場,複数の中庭など士官の弟妹が通う格があった。1階が既に地面から高く,窓の高さは自分たちの背丈以上にはるか高かった。ガキンチョどもは,窓にこしかける。ちょっとスリルもあるわけだが,そんなことより風が気持ちよいし,教室をいつもと違う少し高い目線でラクチンに見渡せるのは気分がイイ。そんな理由で,僕らは窓に腰掛け,バランスを崩し,くるりんぱっと鉄棒の後ろ宙返りの要領で,落ちる。うまく落ちると落ちた本人が若干の恐怖以上に,あっけにとられきょとんとしたままになるほど,キレイに着地してしまう。まぁ,そんなわけでドサッと落ちる。でもケガをした子はいなかった。
 ハプニングやアドベンチャー,盛り上がった勢いやはずみで子どもたちはつい図に乗る。そうして無茶苦茶なことをやる。あとから,なんであんなことを思うアレやコレや,を。そうして生き残ったのが僕らなわけだし,そうした毎日を送っているのがいまの子どもだ。それだけだ。