「王国」を読んだ。読み終えて数日経つ。これでエントリをどう起そうか,と思ったが,物語を楽しんだ,との思いがあるので,ここから何か切り口を持って書き出すという作業にならない。なので,「やられた!」と思う決め台詞を記録しておく。
それにいつかきっと大きな意味で,うまくいく日も来るよ。人のいるところには必ず最低のものと同時に最高のものもあるの。憎むことにエネルギーを無駄遣いしてはいけない。最高のものを探し続けなさい。流れに身をまかせて,謙虚でいなさい。そして,山に教わったことを大切にして,いつでも人々を助けなさい。憎しみは,無差別に雫石の細胞までも傷つけてしまう。
マザー・テレサの言葉のようですけど。それでも,「流れ」と「謙虚」。そこを意識するのは大きいですばい。
自分のせいだというふうにだけは,思ってはいけないわ。そう思っている限りは自分が当ててやったという気持ちにも,いつかはなるということだからね。そういう気持ちの芽を持ったままでいると,必ず謙虚さは傲慢の裏返しになってしまうから。大切なのは,誰か大きな存在が自分に授けてくれた情報を,自然に,流れるように,自分を消して流れるままにしておくことなのよ。
この場合の「流れ」とは,自分自身が流されることではなく,自分を通って流れていく「情報」を,スムースに通すこと,そのための謙虚さが大事ということだろう。
人間がどれほど弱いものかは,私も身にしみて知っているし,誰でも一度くらいはおかしなタイミングのせいで,何かにそういうふうに頼ります。楽しみの域を超えて,頼ってしまうのです。楽しみのために存在するものに,楽しまれてしまっては,それはもう何ものかの奴隷になっているということです。でも,それはきっとよくあることです。
(略)
そして何よりも,罪悪感を持たないでください。弱い自分に,ちょっとしたことで変化してしまった自分に。誰でも,そうなのです。あなただけきれいでいることはできません。反省して生活を変えるのは大いにけっこうですが,罪悪感は,その,退屈な淋しさにとっての,おいしい餌のようなものです。
p.72〜p.73 「王国 ー その2 痛み,失われたものの影,そして魔法」よしもとばなな著
弱く,淋しい。そのために何かに頼る。すると,その何かとの関係が逆転してしまう。その結果,しでかしてしまったことでの罪悪感に苛まされる。でも,そこから抜け出せなくなってしまわぬように。
その3では,片岡さんが良過ぎるよ。るるる。ボスの典型だよね,と。
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